第161章

田中尚哉は田中辰哉の姿を認めた瞬間、瞳の奥の敵意が刃になって飛び出しそうになった。

「これは俺と莉理の問題だ。お前が口出しする筋合いはない!」

田中辰哉は悠々と歩み寄り、大島莉理のそばにある一人掛けのソファへ腰を下ろした。長い脚を自然に組み、力の抜けた姿勢。

――だが、田中尚哉にはわかる。

その座り方は、何気ないふりをしながら、確実に莉理を自分の庇護下に置く仕草だった。

見せつけられるようで、ひどく癪に障る。

今すぐ駆け寄って、二人を引き剥がしたい衝動が腹の底からせり上がる。

「私事じゃない」

田中辰哉は渡辺尚輝から分厚い書類を受け取り、机の上へ無造作に投げた。

「加藤淳史...

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